今回、いわの美術がご紹介するお品物はアントニ・タピエスの版画でミクストメディア作品です。
アントニ・タピエスはスペインの現代画家で、20世紀の現代美術を代表する巨匠の一人と言われており、出身地であるバルセロナにはアントニ・タピエスの作品を集めて展示しているアントニ・タピエス美術館があり、連日観光客よりも地元の人々でにぎわっています。
この事からも分かるように、日本ではあまり知られていないアントニ・タピエスですが、世界では注目されている存在の一人で、これまでの芸術表現の枠を飛び越えた作品を次々と生み出していきました。
アントニ・タピエスが得意としているミクストメディアとは、1970年代から美術界で見られるようになったもので、シュルレアリスムやダダイズムが反芸術運動の一環として意図的に作品に画材ではない素材を使った事がミクストメディアのはじまりだと言われています。
そのため、アントニ・タピエスの作品にも油絵具に藁や砂、大理石などを混ぜてキャンパスに描かれていたりします。
今回、お買取した作品は版画でしたがミクストメディアの作品で、布のようなものが貼りつけ重ねられていたり、エアブラシのような表現があったりと、とても面白い作品に仕上がっています。
また、アントニ・タピエスの作品には必ず十字のモチーフがどこかに記されているという特徴があります。
版画の場合、エディションナンバーと作家のサインが入っており、こちらのアントニ・タピエスの作品もしっかりとエディションナンバーとサインが書かれていました。
エディションナンバーは作品として何枚刷ったのか判断できる数字としても使われており、大体が分数表記となっています。
分母の数が刷られた枚数で、分子の数はそのうちの何枚目という意味で使われるのが一般的で、買取で重要なのは分母の数で、この数が少ない方が作品枚数は少ないという事で買取額が高くなる場合もございます。
ちなみに今回お買取したアントニ・タピエスの作品は99枚刷られたものでした。