今回お買取りの中から紹介させていただくのは、十二代 藤林徳扇『月の砂漠』です。
300年以上続く藤林徳扇は、初代が宮内庁御用達の錦の御旗の織り匠として創業して以来、技と伝統を代々継承してきました。
十二代 藤林徳扇はその中でも特に秀でており、帯・着物に留まらず絵画も制作し、ユネスコ・グリーティング・アーティストに何度も選出されるなど世界的にも有名です。
時を経ても変色しないことにこだわり、本金糸や本プラチナ糸、更には五大宝石をパウダー状にした絵の具などを使用し、生地や絵画を作成しました。
宝石を惜しみなく使用し描かれた絵画は『徳扇コスモアート』と呼ばれ、その優雅さと格調の高さはまさに究極の宝飾画と言えます。
残念ながら2013年にお亡くなりになり、十三代を継いだ長男・宏茂も2年後に病死され、現存する藤林徳扇の作品は非常に貴重となってしまいました。
日本の伝統美を世界に広めた十二代 藤林徳扇ですが、今回お買取りした『月の砂漠』は、異国の美しい情景を描いた珍しい作品です。
気品に溢れた作品であり、十二代 藤林徳扇のコンセプトである『世界平和への祈願』を願わずにはいられない作品ではないでしょうか。
いわの美術では『月の砂漠』『煌龍』などの絵画や、着物などの藤林徳扇作品の買取りに力を入れています。