こちらはホアキン・トレンツ・リャド(Joaquin Torrents Llado)のシルクスクリーンです。
光と影を見事に操り、「ベラスケスの再来」「光の収集家」とも呼ばれたスペインの画家です。
5歳の頃から絵を描き始め、ずば抜けたデッサン力で若干19歳にして名門美術大学の助教授に任命されます。
残念なことに日本ではそれほど知名度の高くない方ですが、海外では王室のお抱え画家として、モナコのキャロライン王女、スペイン国王夫妻、デンマーク王子等数々の王室の肖像画を描いています。
このシルクスクリーンは「アルハンブラ(王妃の中庭)」という風景画です。
彼の作品は肖像画と風景画では全く異なるタッチで描かれ、風景画では大胆な筆運びと滴るほどの絵の具、飛び散るような光がとても印象的な絵を描きます。
モネに影響を受け、作品にはモネの題材を元にしたものが多く見受けられます。目を見張るような鮮やかな色彩とはっきりした陰影、光を表現することで空間を表す技術の高さは他に類を見ません。
トレンツ・リャドは1993年に突然の病死により、47歳という若さでこの世を去ります。
スペインをはじめ、とても評価されていた画家であり、この若さでの突然の死に対して「神々の肖像画を描くために天国に召された」と称されました。
