今回、いわの美術がお買取りしたお品物は平山郁夫の版画「金閣寺」です。
平山郁夫は、日本美術院理事長、第6代・第8代東京藝術大学学長をつとめ、文化勲章を受章した日本を代表する日本画家です。
広島県出身の平山郁夫は原爆の被害を受けた1人で、原爆の後遺症で白血球が減少し、命の危険に直面しました。
その時に描き上げた玄奘三蔵(三蔵法師)をテーマとする『仏教伝来』で院展に入選し、その名前が広まっていきました。
院展に入選して以来、仏教をテーマにした作品、仏教の原点であるシルクロードをテーマにした作品を描き続けてきました。
また、シルクロードにある遺跡の保存や研究にも努め、中国からも高い評価を得ています。
今回お買取りした平山郁夫の版画は京都にある金閣寺を描いたもので、金閣寺は金閣を中心とした庭園、建築は極楽浄土を世にあらわしたと言われ、平山郁夫も様々な角度から金閣寺を描いています。
今回はシルクスクリーンで制作された版画で、担当したのはフジグラフィックスという東京都台東区にある創業30年を迎えた版画工房の楚山俊雄です。
限定150部刷られたもので、経年の劣化はございましたが、作品自体にはダメージが無く、外箱付でお買取り致しました。
シルクスクリーンは作家以外の人間が制作する事がほとんどですので、同じ原画でも制作者によって雰囲気が違って見えます。
こちらの金閣寺の版画は平山郁夫の作風を殺さず、味を残した納得のできる作品に仕上がっていました。