今回、いわの美術がお買取りしたお品物は、平山郁夫の銅版画「大仏殿遠望」です。
モチーフとなった風景は奈良県東大寺にある仏堂で、「奈良の大仏」として知られる東大寺の本尊を安置している所です。
雲の切れ間から差す光が神々しさを感じるお品物でした。
平山郁夫は、奈良や京都の仏閣を描いた作品を多く残しており、こちらの銅版画もそのうちの1つです。
平山郁夫は日本を代表する日本画家で、政治の世界や皇室とも密接な信頼関係を作り、画家でありながら政治の世界でも発言力を持てる程の存在で、画家としての活動以外にも日本とアジア諸国の友好活動を積極的に行うなど、アジア諸国の文化遺産などの修復、保存などの文化事業にも大きく功績を残しています。
平山郁夫は仏教をテーマにした作品が多いのですが、これは中学生の頃に原爆の被害に遭った事が大きく関係しており、後に原爆後遺症で白血球が異常なまでに減少し、死に直面した事がきっかけだと本人が話しています。
その視野はやがて日本国内には留まらずアジア諸国へと向けられ、作風もオリエントをテーマにした作品が増え、砂漠やラクダ、月夜などといったモチーフも多く描き残しています。
お買取りした銅版画は、オリエントをテーマにする前に描いていたもので、平山郁夫のオリジナルをもとに毎日新聞社によって昭和56年に製作、発行されたものでした。
全部で450部刷られており、この枚数は比較的多く、全体的にシミが見られたため、高価買取とまではいきませんでした。
しかし、共シール、外箱がついていましたので、その辺りはプラスの評価となっております。