こちらは先日お買取りさせて頂きました、アンリ・マティスのリトグラフです。
アンリ・マティスはフランスの画家で、フォーヴィスム(野獣派)のリーダー的存在でした。また自然をこよなく愛し、「色彩の魔術師」とも称されています。
フォーヴィスムという命名は批評家ルイ・ヴォークセルによるもので、1905年のサロン・ドートンヌに出品された原色を多用した強烈な色彩と激しいタッチの作品郡を見て、野獣に取り囲まれたようだ、と評したことから付けられました。
アンリ・マティスは初め、法律家を志していましたが病気療養中に絵を描き始めたことをきっかけに画家を目指します。古典を模写するなど伝統的な技法から学び、徐々に新印象派に関心を抱き、画面構成や点描による色彩の研究などを行っています。
画家としてフォーヴィスムの代表格と見られていますが、本人はフォーヴィスムと呼ばれることを嫌い、そういった作品を描いたのは数年間、それ以降は落ち着いた絵画を描いています。
今回お買い取りした作品は「テラスのオダリスク」です。
オダリスクというのはトルコのハレム(ハーレム)に仕える女奴隷のことで、美術の題材としてよく好まれており、有名なものにはドミニク・アングルの「グランド・オダリスク」があります。
アンリ・マティスはトルコなどへの旅行の後、このようなオダリスクの作品を精力的に描き始め、「腕を上げたオダリスク」「赤いキュロットをはいたオダリスク」などの作品を残しています。