今回、いわの美術がお買取したお品物は、白鳥映雪の日本画「佳日」です。
こちらは作家が直接画材に描いた肉筆画で、白鳥映雪は「佳日」というタイトルで構図の違う美人画を何枚も手掛けています。
白鳥映雪は長野県出身の日本画家で、幼い頃に母親を亡くし、最終的には父親も亡くなってしまったため、とても苦労した幼少期を過ごしました。
そんな中で、美人画で有名な伊東深水の作品を目にした時、幼い頃に亡くなった母親の面影を感じ、伊東深水に弟子入りする事を決めます。
農家の後継ぎでもあった白鳥映雪は周囲の反対を押し切って、上京し、伊東深水の門下に入り、行商、新聞配達、歯科医助手など様々な職業を転々としながら日本画の勉強を重ね、日本画家としてデビューしますが、太平洋戦争によって疎開することになります。
同じく疎開していた伊東深水と偶然郷里で出会い、伊東深水の制作を手伝うかたわら、伊東深水直々に4年間教えてもらう事ができました。
その事からも伊東深水の伝統を受け継いだ者として気品ある女性像を追求し、格調ある独自の美人画を完成させ、日本画壇最高峰の画家と評されました。
お買取した白鳥映雪の作品を見てもお分かり頂けるかと思いますが、伊東深水の作品とよく似ていますよね。
違う部分といえば白鳥映雪の美人画の方が女性の顔が面長なところではないでしょうか。
お買取した白鳥映雪の作品は、大事な顔の部分に多くのシミが出来ており、評価が下がってしまいました。
しかし、貴重な肉筆の作品、そして画廊の共シールが貼られていたため、良い評価での買取となりました。
日本画は保管場所が悪いと、シミや日焼けといった買取額に直接影響するようなマイナス部分が発生してしまいます。
こういった事を防ぐためにも、普段から取扱い、保管場所に注意しておく事で高価買取へと繋がります。