今回お買取したお品物は、岸田劉生が描いた静物画で果物が描かれた日本画の作品です。
岸田劉生は大正から昭和初期にかけて活躍した近代日本を代表する洋画家です。
様々な表現方法を会得し辿り着いた作風はたくましさを感じる事の出来る写実的描写からは、モデルから伝わってくる深い精神性を見逃さず表現する独自の絵画様式を確立し、のちに「道路と土手と塀」や「麗子微笑」などの重要文化財となるような西洋式絵画を手掛けるようになりました。
岸田劉生は、明治時代に活躍した新聞記者で実業家の岸田吟香と妻の勝子との間に生まれ、東京高等師範学校付属の小学校、中学校に通いながら独自に絵画を学びました。
岸田劉生は潔癖症で熱心なキリスト教信者としても知られており、作品にも影響を与えていたといわれています。
また、白樺派の武者小路実篤やイギリスのバーナード・リーチなどとも交流があり、それはこれまでの表現方法から劇的に変化する大きな出会いとなり、印象派のゴッホなどの影響を大きく受けました。
のちにルネサンス芸術やバロック様式、ロマン主義などの表現手法の影響を受けながら自身の様式の確立に励みました。
岸田劉生の最盛期は結核の疑いで神奈川県藤沢町鵠沼にて療養中だった頃とされています。
鵠沼の別荘は友人である武者小路実篤の物件でしたが、庭に土俵を造り来客者と相撲をとるほど豪快であったといわれています。
この頃からの作品は病気の為か人物画や静物画が多くなり、娘の肖像画を描くようになり、多くの麗子像を残しています。
今回お買取したお品物は岸田劉生の作品は肉筆です。 岸田劉生の買取お問い合わせはこちらから
木の質感を存分に感じる事の出来る額装でしたが、裏面に目立つキズがあったのが残念でした。
今すぐにでも食べたくなるような雰囲気漂う中に少しだけ寂しさと暖かさも感じられるような素敵なお品物でした。