こちらの油彩画は、南欧を題材にした風景画を描く画家として有名な藤本東一良(物故)の「陸に上ったヨット」という作品です。 キャンバス裏に「陸に上ったヨット 藤本東一良 第1回新日展」と裏書がみられます。
お買取の作品は、藤本東一良らしく水辺の風景を、遠近法的空間表現に基づきながら、リズミカルな筆触、明快な色調で描いた作品です。
伊豆下田生まれの藤本東一良は、すぐに両親の出身地の大阪に移り住みますが、少年時代を港町で過ごしたからか、その作品にはこういった水辺の風景作品が多くみられます。
藤本東一良は代々、播州赤穂で回船業を営む家柄という恵まれた家系で育ち、成人して画家を志し上京、寺内萬治郎、小林万吾に師事します。東京美術学校後には、藤島武二の教室で学びます。
戦前は国内やサイパンなどの南洋を旅し、戦後はすぐに渡仏し、留学したのを皮切りに欧州各国を旅し作品制作を行います。当時パリ画壇はサロン・ド・メなど新具象、抽象が全盛でしたが、藤本東一良は南仏の陽光を求め、ニース、カンヌ、マルセイユなど主題をコート・ダジュールに求めました。
当初は人物画などを描いていましたが、渡仏後はもっぱら風景画を描きました。海と空を好んで描き、港の絵を得意する藤本東一良ですが、「潜水艦の米空母雷撃」などの戦争記録画も描くなどもし、作品は東京国立近代美術館に所蔵されています。
南仏や地中海をオレンジやエメラルドカラーでとらえる藤本東一良の筆触は、愛好家の心を離しません。
正当な外光派の画家として、藤本東一良の作品は、現在でも高く評価されています。いわの美術では、藤本東一良の作品の高価買取も行っています。藤本東一良の油彩画などの作品のご売却をお考えでしたら、是非いわの美術までご連絡ください。