今回ご紹介するお買取致しました作品は、日本芸術院会員でもあった洋画家 菅野矢一の「日の出」と題された肉筆の油絵です。
山形生まれの菅野矢一(物故)は、日本の近代美術をリードした洋画家安井曾太郎に師事しました。
その後、渡仏し、パリで油彩を学び後期印象派に感銘を受け、それまで人物像中心であった制作活動は、帰国後、風景画へとその作品の割合が逆転していきます。
そして、景色という写実的な対象を精神的な抽象に練り上げた作風へと移行し、晩年には画風が定まり、徐々に深化していきました。
今回お買取した菅野矢一の作品「日の出」は、海辺の岩礁から、朝焼けとともに浮かび上がっていく太陽が、見事なタッチで抽象的に描かれた風景画です。
買取した菅野矢一の「日の出」は、雄大な自然を感じさせるばかりではなく、地球が球体であるがごとく、若干丸みを帯びた地平線が、抽象的な構成の風景に立体感をもたらしています。
「日の出」の風景という写実的な対象を、精神的な抽象に描きあげた、菅野矢一ならでは作風の素晴らしい作品をお買取させていただきました。
菅野矢一の作品では、同じ太陽を描いた「白い太陽」という風景画が日展文部大臣賞を受賞しており、また代表作として、故郷である蔵王を描いた「くるゝ蔵王」や、松尾芭蕉の「奥の細道」に着想を得た「最上川」や「旅の空」などがあげられます。
美術品買取実績豊富ないわの美術では、菅野矢一の作品買取を強化しております。
肉筆の菅野矢一の風景画など、作品により高価買取致しておりますので、ご売却をお考えの菅野矢一の作品がございましたら、是非いわの美術までお問い合わせください。