今回、いわの美術がお買取りした作品は、日本画の巨匠平山郁夫のシルクスクリーン「故城下村民帰牧図」です。
文化勲章受章者でもある平山郁夫は、仏教やシルクロード、世界の遺跡をテーマに作品を描くことを通して、平和な世界の実現を心から願った画家でした。
平山郁夫は、自らの広島での被爆体験がきっかけとなり、仏教への強い関心と平和への祈りをこめて、壮大なスケールの「シルクロードシリーズ」を描き続けました。
平山郁夫の数々の画業は、日本及び世界各国でも高い評価を受けており、また、その活動は幅広く、敦煌の莫高窟の保存事業など文化財保護など多大なる功績を残しました。
平山郁夫は、仏教への関心から、中国の僧 玄奘三蔵が辿ったインドへの旅路を追い、シルクロードの仏跡や歴史的遺跡などの取材旅行を生涯続けましたが、今回、お買取した平山郁夫の作品は、インドの歴史的遺跡ジャイサルメールの城と村人の姿を描いた「故城下村民帰牧図」です。
ジャイサルメールは、インドの中でもパキスタンとの国境まで100kmの距離にあり、1156年にバッティ家の王ジャイサルによって創設されたた城郭都市です。ジャイサルメールは、インドと中央アジアを結ぶラクダ隊商の交易路の中継地にあるオアシスで、日が沈む頃、街が黄金色に輝くようにみえることから別名「ゴールデンシティ」とも呼ばれています。
2013年には、ジャイサルメールのランドマークでもあるジャイサルメール城砦も世界遺産に登録されています。
買取りした平山郁夫の「故城下村民帰牧図」にも、独特の筆致で、ジャイサルメール城砦が描かれており、その前を歩く村人や牛の隊列が、どこまでも限りなく道が続くような「時空の風景」を感じさせる、壮大な歴史とスケール感のある素晴らしい作品です。
背景に描かれた空の青の美しさは格別ですが、平山郁夫の青の顔料にはアフガニスタンの鉱石ラピスラズリや中国広東省のアズライトなどが使われているそうです。
平山郁夫の「故城下村民帰牧図」は、2002年に発表され、院展にも出品されたもので、お買取させていただいたシルクスクリーンは、共同印刷の「彩美版」という方式が使われています。
「彩美版」とは、最新のデジタル加工処理技術と高精度のプリント技術を駆使し、画材の質感と豊かな色調を再現するために生み出された、共同印刷のオリジナル技術です。
この技術により、平山郁夫の原画の持つ独特の色彩や筆使いといった絵の鼓動までが、忠実に表現されています。
大変稀少な平山郁夫のシルクスクリーン作品限定500部の内のひとつを、承認印・限定番号入の共シール付で、お買取させていただきました。
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