今回、いわの美術がお買取致しました作品は、美人画の巨匠 小川雨虹(物故)の肉筆美人画です。
小川雨虹は、時代考証、風俗、文楽をよく研究し、伝統的な日本画作品に独自の感覚を加えた舞妓などの美人画や、風俗画の名手として知られます。
小川雨虹は、虎の絵で有名な三尾呉石に師事し、当初は院展などに属していましたが、のちに画壇から離れて、個展を中心に活動し、その細かく端麗な描写された美人画は、多くのファンを魅了しました。
今回買取した小川雨虹の作品は、「秋くさ」と題された横顔姿の美人画です。
夏の薄物の着物を涼しげに着こなした日本髪の美しい女性が、凛とした空気の中に美しく描写されています。「秋くさ」と題されていますが、桔梗柄の着物と、日本髪には桔梗の簪、そして背景には、ススキなどが描かれています。
桔梗は、秋の七草のひとつで、古来歌などにも詠まれ、絵の題材や文様として愛好されてきました。着物では季節は、早目に取り入れられますが、桔梗柄の着物は、夏から残暑の九月ごろに着用されます。
買取の小川雨虹の美人画は、陶器のような柔らかな白い肌に、黒の日本髪が美しく結われ、うなじの曲線や目線の配り方といった細部にまで意識を集中させて、端麗に描写されています。
外見だけでなく、内面の美しさまでも感じられる作品です。
買取査定においては、作品の状態は良好で、画面右下あたりにサインと落款があり、裏面には共シールが確認できました。共シールは、作者自身がサインし、作品名と押印したもので、作家の弟子や遺族が真贋を鑑定して、箱書やシール記入を代行することもあります。
共シールは、作品の真贋を証明するものですので、共シールがあれば、買取評価の際にプラスに影響します。
いわの美術では、美人画の買取実績も豊富です。日本には、今回買取の小川雨虹をはじめ、多くの美人画の画家がいますが、中でも明治~昭和初期にかけて活躍した京都出身の日本画家 上村松園は有名で、いわの美術でも買取を強化しております。
また、不思議な魅力を持った美人画を描く石田和歌や、現代においての日本で最後の美人画家ともいわれる大竹五洋の美人画作品などもお買取致します。
ご売却をお考えの美人画がございましたら、お気軽にいわの美術までお問合せ下さい。