今回いわの美術がお買取したお品物は、明治~大正時代に活躍した彫刻家・高村光雲が原型を手掛けた銀製金箔仕上聖観世音菩薩です。
高村光雲は国宝の老猿を手掛けた彫刻家として知られ、老猿はシカゴ万国博覧会に出品された作品で、大鷲と格闘した直後の気迫に満ちた猿の姿を描写したものです。
高村光雲はこの作品の制作に取り掛かろうとした際、長女がこの世を去ってしまったため何も手につかないほど落胆してしまいます。
しかし、老猿の制作を進めていくうちに気力を取戻し、娘を失った悲しみを克服しようとする高村光雲の気迫が込められていると言われています。
大きな功績を残した高村光雲ですが、もともとは仏像彫刻を手掛けていました。
明治維新後に廃仏毀釈運動の影響で、仏師としての仕事がなくたったため、積極的に西洋美術を学び、木彫彫刻に西洋彫刻の写実性を加えた作風を生み出します。
この事は日本の木彫界に新境地を開き、衰退しかけていた木彫界を隆起させる事に繋がりました。
さて、今回お買取りしたお品物は高村光雲の聖観世音菩薩を原形に素材に銀を使い、贅沢にも金箔で仕上げたお品物です。
金箔を使っているので輝きも純金と変わらず、神々しさを演出しています。
重さは213gしかありませんが、銀製のお品物は銀の価値もプラスされ、今回は傷や汚れもなく共箱もきれいであったため、高価買取での対応となりました。