以前お買取りさせて頂きました、野上龍起の布袋像です。
野上龍起は1865年生まれの鋳造家で、精巧な蝋型鋳造を得意とした大島如雲に師事します。
優れた描写力で細部にわたって手を抜くことのない、精緻な技巧を凝らした作品を作りました。
1900年のパリ万博にも出品しており、代表的な作品では特に亀の置物で知られています。
亀の一瞬の表情や、ザラついた皮膚、甲羅の質感までよく表現し、まるで生きているかのように写実的で技巧を凝らした作品を作りました。
今回の作品は亀ではなく七福神布袋の像ですが、手触りの良い滑らかな肌や豊かな表情、自然な衣服の皺まで見事な出来栄えです。
残念ながら野上龍起は1932年に亡くなっており、彼の作品の多くは戦争の際に紛失、破損してしまいました。
野上龍起の得意としていた亀の置物等は現在東京藝術大学美術館に数点収蔵されています。