今回、いわの美術がお買取りしたお品物は前島秀章の木彫置物「小さな友情」です。
前島秀章は独学で木彫彫刻を始めた作家で、人間の内面にある暖かな視点と人間の持つ喜怒哀楽を表現した独自の作風を展開し、日本国内のみならず、ニューヨークやアメリカでも個展を開催しており、世界的にも高い評価を得ている彫刻家です。
幼い頃から絵を描く事が好きだった前島秀章は、京都の蓮華王院で見た仏像に感銘を受け、木彫作家を目指す事にしました。
しかし、木彫作家としての道は険しく、木彫をやりながらでは定職にも就けず、様々な職種を転々とし、その仕事を通して人間の喜怒哀楽を学んだそうです。
そんな中、病気で体力的にも精神的にも疲弊し、木彫りの道をあきらめようするが、生きることの大切さを知り、木彫は「木に命を彫り起こす」という意味を込めて、作品に使用する木材を赤樟(くすのき)の風倒木(ふうとうぼく)を使用するようになりました。
風倒木とは長い年月の内に中心部分が腐り空洞になった巨木が台風や強風によって倒された木の事で、木としての役割を終えた風倒木に再び命を吹き込む意味も込めて、素材として風倒木を使用し、作品を制作しています。
前島秀章の木彫作品は、素朴で暖かみのある作品が多く、人間らしさを感じる事ができる作品です。
和室、洋室どこに置いても心和む雰囲気を持っている前島秀章の木彫作品は、人気が高く、いわの美術でも高価買取で対応しております。
今回、お買取りした前島秀章の木彫置物は、「小さな友情」と題されている通り、人間と犬の暖かなふれあいをそのまま木彫作品にしたもので、優しさを強く感じるお品物でした。
共箱も付いており、作品の裏には1994年に制作した事が記されていました。