今回、いわの美術がお買取したお品物は中村宗哲の独楽塗轆轤目喰籠です。
喰籠とは菓子器の事で、茶道で使用される場合は主菓子を客の数だけ盛り込んで出すため、蓋付である事が最大の特徴です。
作者の中村宗哲は千家十職の塗師として活躍しており、中村家の初代は千家とは親戚でもあり、千宗旦の次男・一翁宗守が隣の家の塗師に養子に入っていましたが、一翁宗守が千家に戻る事になると塗師の仕事を中村宗哲に譲った事からその歴史がスタートしました。
中村宗哲という名は初代から続く中村家の当主が代々襲名している名前で、当代で13代目となっており、現当主は女性という事でも知られています。
お買取した独楽塗轆轤目喰籠は11代・中村宗哲の作品という事が、作品に記された文字とご一緒にお譲り頂いた共箱の箱書から判断する事ができました。
独楽塗という、ろくろのひき目に沿って赤・緑・黄・黒などの漆を同心円状に色分けして塗って文様にしたもので、独楽は「良く回る」という事から「人生が益々円滑に回転しますように」と商売繁盛、五穀豊穣、家内安全などの願いが込められており、古くから縁起物として扱われてきました。
共箱には複数のシミが見られましたが、作品自体には目立った傷や破損個所も見られませんでしたので、11代・中村宗哲の作品という事で高価買取となりました。
いわの美術では中村宗哲の作品買取を強化しており、どの代の中村宗哲の作品でもしっかりと評価して買取を行っております。