今回いわの美術がお買取したお品物は、九谷焼の名工として知られる3代・徳田八十吉の壷で、共箱にも「壷」の一文字が書かれていました。
3代・徳田八十吉といえば、これまでの九谷焼の伝統を覆す、宝石のように輝く美しいグラデーションが特徴の「彩釉」を生み出し、重要無形文化財「彩釉磁器」の保持者として活躍を見せた事で知られています。
彩釉を使った作品は当初、「こんなものは九谷焼ではない」と批判を受ける事もありましたが、徳田家に伝わる古九谷五彩の紺、紫、緑、黄、赤のうちガラス成分のない赤を除いた4色の釉を使用している九谷焼の伝統を守った作品である事は変わらなかったため、3代・徳田八十吉はどんな罵声にも耳を傾けず、ただひたすら自分の信じる九谷焼を生み出す事だけに尽力していました。
その結果、現在では日本のみならず海外でも高く評価されており、世界中の有名な美術館に作品が所蔵されています。
彩釉の美しさを最大限に表現するためには素地の造形が正確でなければなりません。
そのため、3代・徳田八十吉はろくろの腕前も見事で、乱反射を防ぐ磨きの工程を丁寧に行う事で宝石のような光沢を生み出す事ができます。
彩釉はきれいなグラデーションを表現するために少なくとも20~30色ほどの色を重ねてグラデーションを作っています。
今回お買取りした3代・徳田八十吉の壷も気の遠くなるような作業を経て、出来上がったお品物です。
保存状態も良く、共箱もお一緒でしたので高価買取での対応となりました。