今回、いわの美術にお譲り頂きましたお品は、人間国宝 原清 作『鉄釉香炉』です。
黒と茶色のコントラストのみで構成された肌合いの景色と、味わいのある黒釉の深い色味を、
より引き立たせた大変秀逸な作品となっています。
釉薬の性質上、焼成段階で釉薬が流れてしまうため、均整の取れたふっくらと美しい造形模様と、
艶やかな黒釉の中に浮かび上がる柿釉の装飾は、シンプルながらも非常に洗練されたものと
言えるでしょう。
原清は、1936年2月28日に島根県にて生まれた陶芸家で、
鉄釉陶器にて、2005年に重要無形文化財保持者の一人として人間国宝に認定された陶芸家です。
人間国宝である原清は、人気の陶芸家としては珍しく弟子をとらずに自身の手で作陶に励んでいます。
そのため作品数が少ないことでも有名です。
原清の代名詞といえる陶芸技法『鉄釉』
これは釉薬の中の鉄分を調整して、黒や褐色の色を出す技法ですが、原清は特に、この2つの色に集中し、
釉薬を使って、馬や植物などをモチーフに大柄な文様を描いた作品が特徴となっています。
全体的に温もりを感じる鉄釉の作品は、陶芸界でも高く評価され人気が多いです。
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