写真の作品は、人間国宝 松井康成作『月崇寺窯 練上嘯裂文小壷』です。
たいへん素晴らしい作品を今回お譲りいただきました。
作者が長い研鑽のすえに生み出した独自の技法『嘯裂（しょうれつ）』による美しい形成と、
モダンな作風を特徴とする練上壷です。
この技法は松井康成が、1976年の晩年期に発表されたもので、器の表面を刷毛や櫛などで
荒らし、わざと傷を入れることによって生じるひび割れを模様に見立てたもので、土そのも
のの粗く厳しい質感を表現し、それまでの練上にはない松井康成独自の作品で高く評価され
ました。
深い凹凸と練上による落ち着いた色調が心地良く、その作風には多大な芸術性を感じます。
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松井康成（まつい こうせい)
1927年(昭和2年)－2003年(平成15年)
天才的な色彩感覚と研鑽によって、世界でも類を見ない鮮やかな練上を生み出した松居康成。
『練上手(ねりあげで)』国の重要無形文化財(人間国宝)保持者です。
1957年(昭和32年)に、月崇寺/茨城県笠間市の住職に就任し、1960年(昭和35年)月崇寺境内に
築窯し、月崇寺焼を復興しました。
1962年(昭和37年)、練上手と象嵌の研究に着手、"練上"にしぼった作陶活動を展開させていき
ます。1968年(昭和43年)には、陶芸家で同じく人間国宝の田村耕一に師事しました。
1976年(昭和51年)、練上嘯裂文・堆瓷など新鮮な装飾スタイルを確立させ、1993年(平成5年)
に人間国宝に認定されます。
" 練上手 "という技法を集大成とし、伝統技術を基盤にした現代の個性豊かな陶芸のあり方を切
り拓いたと言えるでしょう。
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