こちらのお品物は、いわの美術でお買取りさせて頂いた 茶の湯釜の重要無形文化財保持者である名工・角谷一圭氏による萬代屋釜(もずやがま)です。古典的な地模様で上品な形状と鋳肌が格調高く 堂々とした存在感を放つお品です。
茶釜の種類
茶釜には非常に多くの種類があり、好んで使っていた茶人を冠した「利休好の釜」や釜の形状や地紋から名付けられた「天明筋釜」など、その名称の由来も多岐に渡ります。
「萬代屋釜」も茶釜の形状の一種で、鬼の顔をかたどった鐶付(釜の側面に付けられた、釜を持ち上げる時に使われる小さな孔が開いた耳の部分のこと)で、釜の胴体に二本の線がありその間に擂座(るいざ)と呼ばれる画びょうの背の様な半球の装飾が施された釜のことを指します。
茶会を開くことを「釜をかける」と言うように、茶釜はその形、地肌、鐶、湯が沸いたときの音「鳴り」ひとつに至るまでが鑑賞の対象になり、大切な役割がある道具のひとつです。
角谷一圭氏について
釜師であり茶の湯釜の人間国宝。1904年大阪生まれ。
元々は宮大工の家系だった角谷家ですが、一圭の祖父にあたる初代・巳之助が赤々と燃える様に溶けた鉄を型に流し込んでいる職人の姿を見たのがきっかけで 鋳物に魅せられ、鉄瓶や置物、釜などを作り始めたのが鋳物師としての出発点になりました。
角谷家の四男として生まれた一圭は、小学校に上がったばかりの幼い頃から祖父や同じく鋳物師であった父の手伝いをするようになります。小学校5年生で学校を中退し、鋳物の修行の道に入ることを決意。21歳で大阪工芸展にて初出品した鉄瓶の受賞をきっかけに、鋳物師として本格的に始動します。
その後、香取秀真や大国藤兵衛らに師事してさらに鋳金を学び、茶の湯釜の研究を深めていきます。また茶釜の研究の第一人者として著名な細見古香庵と親交を深めることで、伝統とモダンさを兼ね備えた独自の作風を確立させました。
釜師としての功績
1947年に日展で初入選を果たした後、1958年日本伝統工芸展にて「海老釜」で高松宮総裁賞、1961年には「独楽釜」が朝日新聞賞を受賞しました。氏は茶の釜以外にも和鏡の製作も行い、20年毎に行われる伊勢神宮式遷宮では1973年第60回に際して神宝鏡31面を制作し奉納しています。
数々の輝かしい受賞を経てもなお 茶釜の研究に勤しみ、深い学識と卓越した技術で鎌倉時代に作られた茶の湯釜の最高峰ともいわれる芦屋釜の復元や、歴史ある名釜の修繕・修理にも力を注ぎました。
その貢献と功績が称えられ1976年の勲四等瑞宝章を授章、1978年には重要無形文化財・人間国宝として認定されました。
晩年の活躍
氏は多趣味であったことも知られています。仕事の合間に能や日舞など様々な伝統芸を嗜み、常におしゃれにも気を配っていたそうで、「始終仕事ばかりでは作品が固くなる」と語るなど本業以外のことを楽しむ気持ちを持ち続けていたそうです。95歳の天寿を全うする間際まで意欲的に作品づくりに取り組んだのも、常に様々なことに興味と探求心を持ち続けたことが創作意欲を掻き立てることにつながったのかも知れません。
一圭氏の教えは長男柾一、孫の圭二郎が金工作家として活躍し、現在も確実に受け継がれています。
角谷一圭の作品を買取強化中です。
茶の湯釜に限らず、文鎮や香炉などの作品も随時承っております。
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