今回は、煎茶道の茶器において最上の材質として古くから重用されてきた本錫製の茶壺をご紹介したいと思います。手仕事による細かな金属工芸の魅力もさることながら、本品には長年にわたり丁寧にお手入れされてきたことで錫ならではの古色が加わり、新品のお道具とは違った、深みのある光沢に侘びた趣を感じるたいへん貴重なお品物をお譲りいただきました。
茶心壺とは
茶道では茶葉を入れる容器のことを茶入と呼びますが、煎茶道では、茶心壺(ちゃしんこ)、茶壷(ちゃつぼ、ちゃこ)、葉茶器(はちゃき)、茶貯(ちゃちょ)、建城(けんじょう)などと呼びます。多くがその名が示すとおり、壺の形をしています。
茶心壺は大切な茶葉が入っているため、帛紗や茶則とともに三器のひとつにかぞえられ、中でも特別に扱われます。煎茶席などでは、棚を使った飾りのときは上段に置かれることもあり、客の目にたつ主要な茶器のひとつです。
錫製の茶壺が人気のワケ
中国で古くから珍重された錫製の茶壺が、日本でも当初から重用されたのは、ひとつに錫には銀のような輝きがありながら、国内での産出が極めて減った今日とは異なり、銀のように高価でなかったからと考えられています。また、密閉性が高く湿気を防ぐのに適した材質であること、サビにくい、茶葉に金属臭が移らない、という錫ならではの特徴も深く関係しています。
煎茶道小川流の創始者である小川可進は『喫茶弁』に、「錫は冷やすなり。古作最も佳(よ)し。然れども、新古とも、まず無難にして貯え易し」と書いています。その他にも江戸時代後期の歌人・茶人である上田秋成は煎茶書『清風瑣言』に、「茶を保存するのに錫に勝るものはない」と述べていて、秋成より一世代あとに南画家として大成した田能村竹田も自らが刊行した『竹田荘茶説』で同様のことを記しています。
実際、今でも茶舗などで見かける茶箱の内側には鉄に錫のメッキを施したブリキが貼り付けてあり、国内においても錫製の茶壺は、茶葉を保管するのに最上の材質として用いられてきました。
また、金属以外の素材では、陶磁器のものも多く、竹などを使った木製品や、なかにはレースを張り付けたガラス製など、趣向を凝らしたデザイン性の高いものがあります。
形のバリエーションも様々で、壺(袋)形、四方形、六角形(六稜式)、木瓜(もっこう)形、亜字(あじ)形、輪花形、円形、風字(ふうじ)形、筒形、扁壷(へんこ)形などの呼び名で分類されています。
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