この度いわの美術では、お客様のご依頼により中里重利氏の『絵唐津 皿』をお買取りいたしました。ざっくりとした土の雰囲気がのこる肌合いにシンプルな絵付けがほどこされた本作品は、絵唐津焼ならではの滋味深い魅力があります。
作者について
中里重利氏は、古唐津復興に情熱を傾け1976年に重要無形文化財技術保持者に認定された唐津焼の名家12代中里太郎右衛門(69年より無庵)の3男として、1930年唐津に生まれました。
江戸時代から陶業を専門とする家系に育ったことで自然に陶芸の道に入った中里重利氏は、22歳であこがれの日展にて初入選を遂げます。さらに1965年には同展で特選の北斗賞を受賞。73年には唐津に築窯、自身の日展入選作品『三玄壷』にちなんで『三玄窯』と名付けます。86年評議員となり日展の重鎮として活躍する一方で、唐津焼の第一人者としての地位を確立させました。
唐津焼- 400余年の歴史を受け継ぐ、素朴で力強い「用の美」のうつわ
今から400年ほど前、豊臣秀吉による文禄・慶長の役がきっかけとなり、多くの朝鮮人陶工が肥前(現在の佐賀・長崎にまたがる地域)に渡来しました。それ以後、「古唐津」の生産は飛躍的な発展を遂げます。そして侘び茶のうつわとして評価の高い「奥高麗茶碗」や、「朝鮮唐津」の花いけや水指、「絵唐津」の懐石器などが誕生します。とくに茶の湯の世界では、いつしか評価の高い和物茶碗を「一楽・二萩・三唐津」として広く呼び慣らすようになりました。
「古唐津」には多様なかたちと豊かな装飾性をみせる芸術品風のうつわは少なく、暮らしに親しい日用食器や、花器や茶のうつわが主体を占めています。
鬼板と呼ばれる鉄の顔料で文様が描かれた「絵唐津」は、日本で初めて絵付けを施したやきものとされ、唐津焼を代表する技法のひとつです。抽象模様や幾何学模様、動物、草木、人物や風景などデザインは多岐にわたりますが、いずれもが軽やかなタッチでさらりと描かれていて、そのシンプルながら伸び伸びとした筆使いが気取らない魅力になっています。
いわの美術では中里重利作品の買取を強化しております
今回ご紹介した中里重利氏は、唐津焼の人間国宝である12代中里太郎右衛門を父に持ち、3男であったためにその名跡を継ぐことはありませんでしたが、兄である13代中里太郎右衛門と共に幼少期から作陶の技術を教え込まれました。そして、唐津焼の伝統技法を重んじつつも、自由な作風で唐津において粉引の技法を確立させるなど、作者ならではの唐津焼の新しい可能性を見出します。
桃山時代の京や大阪で非常な人気を集めたという唐津焼独特の控えめな美しさは、華美なものに溢れた現代においても、心落ち着く古陶磁の愛好家のみならず、多くの者たちを惹きつけてやまない和のやきものの代表と言えます。
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