お写真のお品物は以前、いわの美術がお買取りした徳田八十吉の九谷焼の壷で、彩釉磁器で重要無形文化財の保持者となっている3代目の作品です。
彩釉とは徳田家に伝わる古九谷五彩の紺、紫、緑、黄、赤のうちガラス成分のない赤を除いた4色の釉を使用し、200色以上の中間色を作り出し、色を帯のように重ねてグラデーション作品を生み出しています。
なぜ、ガラス成分の無い赤を除いているのかというと、あの光沢を出すにはガラス成分が必要不可欠だからです。
3代徳田八十吉は初代に古九谷釉を、父親である2代からは富本憲吉直伝の現代陶芸を学び、伝統的な九谷焼の作品を制作するかたわら、宝石のように光り輝く陶磁器を九谷焼で作りたいという思いから、彩釉という技法を生み出し、新しい九谷焼を完成させました。
しかし、彩釉の九谷焼を制作した直後は「これは九谷焼ではない」と批判の声も上がりました。
それでも自らの意思を貫き、世間に認められるようになり、人間国宝としての認定も受け実に多くの彩釉作品を残しています。
お買取りした3代徳田八十吉の九谷焼の壷は一見色数が少ないように見えますが、これでも20~30色程の色を重ねてグラデーションを作り出しています。
また、型形成はろくろで行い、乱反射を防ぐ磨きの工程を丁寧に行う事で見事な光沢が生まれるそうです。
3代徳田八十吉の彩釉の作品は、サイズも大きく色数が多ければ多いほど価格が高くなっております。
今回は色数も少なく、壷という小ぶりの作品での評価でお買取り致しました。
共箱には若干の傷や汚れ、シミなどがございましたのでその分はマイナス評価となってしまいました。
3代徳田八十吉は、彩釉以外にも古九谷の絵付けの九谷焼きも残しており、こちらも高価買取が期待できるお品物です。