お写真のお品物は中村道年の黒楽茶碗です。
中村道年は八事窯で楽焼を専門に制作している作家で、当代は5代目となっております。
八事窯は初代・中村道年が名古屋に招かれ、茶人・森川如春庵から名古屋の豪商師定の3代・高松定一を紹介され、その全面的な支援を受け開窯しました。
その後、2代・中村道年は研究を重ね、悦の名碗「時雨」と「乙御前」写に励み、高い評価を得るようになります。
こうして、表千家家元即中斎から八事窯と拝受され、茶道具専門の楽焼窯として現在まで続いています。
今回、お買取りした茶碗は黒楽と呼ばれる焼成中に釉薬が溶けたところを見計らって窯から引き出し急冷することで、黒く変色する技法によって生み出される黒楽茶碗です。
楽茶碗の特徴は、手捏ね(てづくね)と呼ばれるろくろを使用しない方法で形成されます。
今回のお品物は平茶碗といって口が広く浅い形をしていました。
この平茶碗は主に夏季に用いる事が多い茶碗です。