こちらは先日お買取りさせて頂きました、小野珀子の釉裏金彩水指です。
釉裏金彩というのは陶磁器の製作技法の一つで、器地に金箔を用いて文様を表し、その上から釉薬を掛けて焼き上げます。
陶磁器に金彩を焼き付ける技法は古くは中国宋代から見られ、日本にも伊万里金襴手等新たな発達をもたらしました。こうした金彩技法の中で釉裏金彩の技法は昭和30年代後半、陶芸家の竹田有恒によって考案されます。
竹田有恒によって生み出された釉裏金彩技法を用いた作品は多くの陶芸家によって制作されてきました。
釉裏金彩は伝統的な金彩技法と釉技を基礎に独自の創意工夫が加えられ、高度な芸術表現を可能にする陶芸技法として高く評価されています。
作者の小野珀子は1964年、49歳の頃に加藤土師萌の釉裏金彩作品に感銘を受けたことから、自身も釉裏金彩に取り組みます。
その後1969年日本工芸会西武支部展で「釉裏金彩紫陽花文青釉水指」で初入選を果たすと、以降釉裏金彩の作品で連続入選を重ねました。
小野珀子は流麗な輝きを持つ釉裏金彩の作品を展開し、またそうした作品に金彩絵付けを行う、金襴手の作品でも更なる優雅さを演出しました。
日本を代表する女流作家で、女性陶芸家としては二人目となる日本陶磁協会賞を受賞しています。
残念ながら既にお亡くなりになっていますが、現在息子の小野次郎も金襴手や釉裏金彩の作品を制作を行っています。