今回、いわの美術がお買取りしたお品物は、釜師・菊池政光、風炉師・麻生吉造による浜松地紋富士釜と鳳凰風炉のセットです。
釜師・菊池政光は山形県出身の奥州山形鋳物の伝統を受け継ぐ作家として、日本伝統工芸展に出品を重ね、初入選してから10回の入選を果たしています。
常に新しい感覚を取り入れた釜作りを心掛けており、1982年に日本伝統工芸士に認定されました。
そして、風炉師・麻生吉造は富山県在住の鋳造家で、学校を卒業してからは市内の茶道具鋳造所で花器や茶器の金工と彫金の技術を学びました。
24歳の時に独立してからは瓶掛・花器・風炉などを中心に制作活動を行っています。
今回お買取りした釜と風炉はそんな二人が制作したもので、釜は富士釜と呼ばれる口が小さく、肩から胴にかけて裾が広がりの形が富士山の形に似ている事から名付けられた釜と、風炉は唐銅の眉風炉の側面に鳳凰の文様を鋳出した鳳凰風炉がセットになったものでした。
なぜ、この組み合わせなのかというと、表千家六世覚々斎原叟が百佗釜を、七世如心斎が累座富士釜を添えた事が大きく影響しており、茶の湯では「富士釜には鳳凰風炉」というスタイルが確立されています。
お買取りした富士釜は浜松の模様が鋳出されている浜松地紋で、蓋に梅の摘みが付いており使用していた割には綺麗な状態でした。
一方、鳳凰風炉は力強く羽ばたいている鳳凰の姿が鋳出されており、風炉の縁に引っ掻き傷がありましたが、それ以外は目立った傷はありませんでした。
共箱もございましたので、共箱付の評価でお買取りをさせて頂きました。