写真の品物は南鐐青海盆と呼ばれる茶道具です。お茶の先生をされていたという、依頼主のお祖母様の遺品としてお買取りさせて頂きました。
南鐐(なんりょう)という言葉はあまり聞くことがないかもしれません。南鐐とは美しい、精練された上質の銀のことをいい、こちらの品物の裏面には「純銀」の刻印もございます。
青海盆は主に南鐐や砂張(さはり)、唐銅(からかね)等で作られ、打ち出した鎚目がうろこ状の青海波文に似ているために、青海盆と呼ばれるようになりました。
こちらの南鐐青海盆は千家十職の釜師、大西清右衛門の作品です。
大西清右衛門は室町後期から400年以上も続いている京釜師で、代々の当主が清右衛門の名を継ぎ、現在は16代清右衛門が当主として活躍されています。
千家十職の釜師ですが茶の湯釜以外にも、今回のような南鐐青海盆、鉄瓶、茶托、蓋置などでも優れた作品を残しています。
また、共箱の蓋裏には表千家13代の即中斎(無盡宗左)の花押が確認出来ました。即中斎は茶の湯の普及、発展に尽力し、ハワイやサンフランシスコなど海外でも普及活動を行っていました。
残念ながら既にお亡くなりになっていますが、即中斎の好物や箱書きは多く残されており、即中斎の箱書きのある茶道具はいわの美術でも積極的に買取を行っています。