現在陶芸の第一人者とも言われる内田鋼一による『加彩急須』です。
師匠を持たず、公募にも興味を示さなかった内田鋼一は、世界の窯場に住み込み修行を重ねることにより独自の表現を体得しました。
シンプルな中にこれまでとは違う存在感を放つ、さすがの逸品です。
内田鋼一
1969年愛知県生まれの内田鋼一は元々陶芸には興味がなく、ラグビー特待生として愛知県立瀬戸窯業高校に入ります。
卒業後は量産型の陶器工場でろくろ職人として植木鉢や土鍋の賃引き仕事に携わり、規格外になってしまった製品は買い取って貰えないなど厳しさを経験しました。
そして海外へ渡航します。
韓国から東アジア、中東からアフリカなどの窯場を巡り、作業を手伝わせて貰うことで見聞を広めました。
帰国後はトラック運転手で稼ぎながら知人の窯を借りて制作という形ではありましたが、1992年22歳の若さで陶芸作家として独立します。
翌年から個展を中心に活動し徐々に知名度を上げ、2000年には東京国立近代美術館の「うつわをみる 暮らしに息づく工芸」展に出品するなど頭角を表しました。
今では常連となっている雑誌 芸術新潮には2001年に初登場し、2003年には『無国籍にして時代不詳 内田鋼一の怒濤やきもの道』とまで言わせています。
独立後も世界各地での制作及び発表を続け、これまでに渡航した国はアメリカ、南米、オーストラリア、韓国、中国、台湾、ベトナム、タイ、インド、フランス、イタリア、イギリス、スペイン、南アフリカです。
現在 内田鋼一は非常に精力的に活動しており、窯を焚く頻度は一般の陶芸家の五倍以上とも言われています。
それでも人気に追いつかず、内田鋼一に展覧会を依頼することは至難の業であると、ギャラリーのオーナー達を困らせているそうです。
作陶以外でもBANKOアーカイブデザインミュージアムを設立(2015年)、高級ヴィラ 湯の山 素粋居のプロデュース(2020年)など、溢れる才能は留まることがありません。
陶芸家として、クリエイターとして、今後益々目が離せない内田鋼一です。
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