今回、いわの美術がお買取したお品物はドレスデン人形です。
ドレスデン人形とはドイツのドレスデンという磁器の街で作られている人形の総称で、ドレスデンの街には沢山の工房が存在します。
ドレスデンの街は1708年ヨハン・フリードリッヒ・ベトガーがヨーロッパで初めて磁器を作った事で今日まで栄えてきた街で、マイセンやKPMと合わせてドイツを代表する磁器の産地です。
現在、高級志向のマイセンに比べドレスデンの作品は比較的に手の届く範囲内で手に入れる事ができますが、1855~1944年までの間、ドレスデンには約200人ほどの絵付け師がマイセンをライバル視し、持てる技術の全てをつぎ込んだ優れた作品を生み出していきました。
実はドレスデンで作られる磁器の素地はマイセンなどの他の窯元で作ったものを使っており、素地作りまでを行っていたのはヴォルクシュタッド、ジッツェンドルフ、へレナ・ウォルフソン、アドルフ・ハマン、ミューラーといった工房のみです。
さて、お買取したドレスデン人形ですが、細部にまでこだわり実によく出来ています。
パーツが組み立て式となっていたため、一部パーツが揃わない部分もありましたがドレスデン人形の中でも大作の部類に入るため、高い評価で買取りを行いました。
また、バックスタンプには王冠が使われており、この王冠のマークはドレスデンの多くの工房で使用されていたバックスタンプで、お買取したドレスデン人形もそんな工房の一つの作品という事になります。
ドレスデン人形の特徴でもあるドレスデン装飾は、ルネッサンス時代のロココが大きく影響している事は有名で、お買取したドレスデン人形もまさにロココそのものです。
こういったドレスデン作品は「ロココリバイバル」と呼ばれ、当時のイギリスのコレクターには絶大な人気を誇っていました。