20世紀に活躍したスイス出身の彫刻家です。
針金のように極端に細く長く引き伸ばされた人を模った彫刻作品はとても有名でジャコメッティの代表作となっており、この作品群は実存主義的と評されています。
彫刻家としてとても有名なジャコメッティですが、絵画や版画の作品も多く残しています。
芸術家としての活動はそのほとんどがフランスで行われていましたが、祖国スイスでは国民的な芸術家として1998年10月から発行されている、スイスの現行第8次紙幣の100フラン紙幣に、彼の肖像が描かれ、裏面には代表作の「歩く男」がデザインされています。
ジャコメッティはスイス印象派の画家であった父を持ち、自身も画家となるべくジュネーヴの美術学校に通いますが、絵画には魅力を感じる事ができず、ジュネーヴ工芸学校のモーリス・サルキソフのもとで彫刻を学びました。
その後、アカデミー・ドゥ・ラ・グランド・ショミエールのアントワーヌ・ブールデルに学び、戦前はキュビズムに影響を受けた彫刻作品を制作しており、シュルレアリスム運動に参加した事からオブジェにも取り組むようになりました。
次第にその作風は具象的な人体像へと転向していき、ただひたすら「見る」ことに向き合い続け圧倒的な作品を作り上げました。
ジャコメッティは芸術家のみならず数多くの哲学者や文学者とも深い親交を持っており、その中には哲学者・矢内原伊作、文学者・宇佐見英治の名前も見られます。
特にジャコメッティが心を許していたのが小説家ジャン・ジュネで、ジャコメッティが制作中であっても唯一アトリエに入室できたといいます。