イギリス・ウェールズのプレスタティン出身のイギリス人の彫刻家です。
野うさぎをモチーフとして、四肢を伸ばしてしなやかに跳躍したり、あるいは踊ったり、望遠鏡を覗き込んだりと、人間のような動きを見せ、いわゆる擬人化した作品を手掛けている事で知られています。
ロイヤル・アカデミー・オブ・アートのメンバーでもあり、多額の寄付をしたことでも知られています。
17歳で彫刻家を志したバリー・フラナガンはバーミンガム美術工芸学校で建築・塑像・彫像を学び、セント・マーチン美術学校でアンソニー・カロらに師事しました。
こうして初期の頃の作品は袋に砂や石膏を詰めたものを発表していましたが、1980年代に入ると動物の具象彫刻へと作風が変化します。
その中でも野うさぎをモチーフとした作品はバリー・フラナガンの代表作となり、世界的にも知られていく事になります。
なぜ、バリー・フラナガンが野うさぎをモチーフに選んだのかというと、うさぎは生態系の中で非常に弱い立場にあるとされ、草食動物の中でも馬やカモシカのように逃げ足が速いわけではなく、リスやネズミのように身を隠すための小さな体がありません。
それでも体は小さい方に分類されますが、植物を完全に消化する腸を持っておらず、うさぎよりも小さな体を持つリスやネズミのように木の実などの高カロリーなものを食べる能力もないのです。
こういった事から野うさぎを人間界でつまはじきにされている人たちとして表現するのにぴったりなモチーフと判断し、人間らしい動きを加える事で重い題材を扱いながらもユーモラスに見せています。
バリー・フラナガンは日本でもいくつかの作品が設置、所蔵されており、世界的にも活躍した彫刻家でした。
2001年にはアイルランドの住民権を持ち、亡くなるまでダブリンで生活していたそうです。