岩手県出身の昭和~平成時代に活躍する日本の彫刻家です。
大理石を使った眼を木彫半身像に埋め込むという独自のスタイルを築き上げ、繊細な表情をとらえ、静謐で瞑想的な雰囲気を持つ作品は注目を浴び、胴体を山に見立てたり、二つの頭を一つの胴体に付けたりと、異形の姿の作品も展開しています。
更に両性具有像であるスフィンクスシリーズは半人半獣、雌雄同体といった特殊なモチーフを取り扱っており、世界中からも注目を浴びる作品として知られています。
ブロンズや大理石彫刻を専門とした彫刻家・舟越保武の次男として生まれた舟越桂は、幼い頃から西洋美術の石膏像や写真を見て育ちました。
また、家族全員がクリスチャンでカトリックであったため、西洋の美術に触れる機会が多く、父親の影響もあって彫刻家を志すようになります。
こうして東京造形大学彫刻科を卒業すると、東京藝術大学大学院美術研究科に進み、在学中に函館のトラピスト修道院という男子修道院から木彫で聖母子像を彫る依頼を受け、この事がきっかけで木彫を始めるようになります。
その後もなかなか父親・舟越保武の影響から抜け出す事ができず、作家として芸術とはどういったものなのか迷う時期もありました。
しかし、多くの美術品に触れ、その作者から感じる精神性や全ての作者が命をかけて芸術に向かっている姿に気付いた時、自分の在り方を再確認する事ができ、以後精力的に活動を行うようになりました。
舟越桂の旺盛な制作意欲は、ほぼ2ヶ月に一作というペースで制作を行っており、常に新しい表現を求めて全身像や双頭像も手がけるなど作品のバリエーションを増やしています。
また、制作前に必ず行っているドローイングもはじめは小さいものを、次に等身大で制作を行うなどしっかりと段階を経て彫刻作品へと仕上げています。
中には制作途中にドローイングを行い、はじめのものとは違った作品が出来上がる事もあるそうです。
そんな舟越桂の作品の多くは美術館に展示されているほか、国際的な現代美術展への出展も多く、書籍の装幀などに作品が使用されるなど、多くの人々の目に触れています。