小森邦夫は東京都出身の彫刻家で、日展の事務局長や日本彫刻会の委員長に就任していたことや、美しい女性像の作品でも知られていますが教育者としても優秀であると評価されています。
小森邦夫は東京都台東区浅草出身の彫刻家で生粋の江戸っ子としても知られており、幼い頃から第一次世界大戦の戦争特需・戦争恐慌に関東大震災や大正から昭和への歴史の移り変わりなど様々な出来事や環境に刺激を受ける中で、ものづくりに関心を抱くと彫刻家への道を選択し、18歳の頃に構造社彫塑研究所に入所しています。
構造社彫塑研究所に入所後は、様々な基礎研究を行いながら自身のスタイルを確立するために作品を制作し続けていました。
また、イギリスのロイヤル・アカデミーで彫刻と塑像を学び、近代日本を代表する彫刻家であり構造社彫塑研究所の設立者でもある斎藤素巖(さいとうそがん)に女性像などを学び、影響を受け自身の作品も女性像が主となっています。
このように研究と模索を続け、才能を感じる造形美を誇り受賞経験もある小森邦夫ですが、なかなか名声を得るほどの手ごたえが得られない時期が続きます。
小森邦夫が68歳の頃に制作した作品でついに日本芸術院賞の受賞を果たし、彫刻家としてようやく地位と名声を築き、その2年後に勲四等旭日小綬章を受章するなど、大きな功績を積み重ねたことで実力が認められると日展事務局長や日本彫刻会委員長などに就任して後進の指導にあたり、蛭田二郎や能島征二などの才能を開花させました。