東京都出身の昭和~平成時代に活躍する現代美術家です。
ポップアーティストや映画監督の顔を持ち、アニメを題材にした作品は、多くの芸術家やサブカルチャー専門家から批判を受けていますが、アニメとエロティシズムを村上隆なりに融合させた作品は、熱狂的なファンが多い事でも知られています。
東京藝術大学時代では日本画を学んでいた事から、作品の根底には日本画の浮世絵や琳派の構成に影響されている部分も多く、日本画のフラット感、オタクの文脈とのリンクなど現代文化のキーワードを含んだ作品展開をしています。
一方で、海外での評価も高く、ルイ・ヴィトン、シュウウエムラ、VANSなどとコラボレーションしており、「世界のムラカミ」と呼ばれています。
幼い頃からアニメが好きだった村上隆は、尊敬するアニメ監督を宮崎駿とし、高校卒業後にアニメーターを志していましたが、挫折し、以前から興味を持っていた日本画の勉強を始めました。
こうして2浪の末、東京藝術大学美術学部日本画科に入学し、日本画を学びますが、東京藝術大学大学院修士課程の修了制作が首席ではなく、次席だったため日本画家の道を諦めてしまいます。
日本画家としての道は諦めてしまいましたが、東京芸藝術大学大学院の美術研究科博士課程を修了し、東京藝術大学日本画科で初となる博士号を取得しています。
その後、開催した個展『TAKASHI, TAMIYA』で現代美術家としてデビューするとロックフェラー財団の奨学金でニューヨークへ留学し、活躍の場を日本のみならず海外へと広げていきます。
こうして世界のアートシーンに新しいコンセプトを提案した「SUPERFLATプロジェクト」は6年をかけてロサンゼルス、パリ、ニューヨークを回る一大プロジェクトで、2008年のTIME マガジンの「世界で最も影響力のある100人」に選出されるなど、海外での評価が高まっていきました。
日本での活躍はフォークデュオのゆずのCDジャケットを手掛け、2008年の24時間テレビのチャリティTシャツのデザインなどを手掛けた事、映画『めめめのくらげ』などがあります。
そんな村上隆ですが、自らの作品制作を行うかたわら、芸術イベント「GEISAI」プロジェクトのチェアマンを務め、アーティスト集団「カイカイ・キキ(Kaikai Kiki)」を主宰し、若手アーティストのプロデュースを行うなど後進の育成にも力を注いでいます。
また、村上隆の作品の中で最も有名なアニメを題材にしたものは、中原浩大の「ナディア」に影響を受けたと本人も認めており、自分の作品はアニメーター・金田伊功の影響を強く受け、金田伊功の功績を作例として表現しているだけと語っています。