大阪府出身の昭和~平成時代に活躍した日本の彫刻家です。
鉄を用いた彫刻のパイオニアとして知られ、鉄や鉛、酸素といった物質と気体との組み合せによる日常空間を異化させる立体作品を展開しました。
ヴェネツィア・ビエンナーレ日本代表など、多くの展覧会に出品しており、国内はもちろん、海外でも高い評価を受けています。
大阪市立美術研究所彫刻部で彫刻を学んだ村岡三郎は、二科展を作品発表の場とし、その他の美術展覧会にも出品し、受賞を重ねていきました。
やがて作品の題材やスケールが一つの美術団体の枠に収まりきらなくなってきたため、二科会を脱会します。
二科会を脱会してからは初個展を開催し、独自の世界観を追求するために模索の日々が続きます。
こうして、重力、熱、光、音など根源的な物理現象の造形化に取り組み、塩、鉄、硫黄といった物質の熱変化を主題にした作品を中心に発表するようになりました。
また、2度の中国西域の崑崙(こんろん)南道を旅行するなど、西域に対して深い関心を寄せており、その関心は塩を用いた作品へとつながっています。
そして、村岡三郎彫刻の集大成ともいえる、酸素ボンベを人に見立てた呼吸や代謝の問題を組み込んだ作品を発表するようになり、作域を広めたとして高く評価されました。
村岡三郎の海外での評価が高くなったきっかけは、ソウル・オリンピック芸術祭、ユーロパリア・ジャパン展、コレクション・セレブレーション展などに出品した事や、ヴェネツィア・ビエンナーレに日本館の代表作家の一人として選出された事が大きいとされています。
作家活動の他にも滋賀大学教育学部、京都精華大学の教授をつとめ、後進の指導にもあたりました。