広島県出身の昭和~平成時代に活躍する日本の女性彫刻家、美術家です。
「地上に存在していることはそれ自体、祝福であるのか」をテーマに探究を続けている現代美術家として注目されています。
ひそやかで繊細な造形作品と、それを配置し鑑賞する緊張感のある空間からなる場所や空間全体を作品として体験させる芸術であるインスタレーション作品を中心に制作しており、日本国内のみならず、フランクフルト近代美術館、ニューヨーク近代美術館、イスラエル博物館、国立国際美術館などに作品が収蔵されているなど、海外での活躍も見られます。
武蔵野美術大学を卒業し、佐賀町エキジビットスペースで発表した『地上にひとつの場所を』という作品で注目を集め、その作品がヴェネツィア・ビエンナーレに出品されました。
この作品は鑑賞者を一人ずつ数分間だけ招き入れる方法をとったため、長蛇の列となった事も話題となり、一躍有名となります。
また、打ち捨てられた古い民家を与えられ、空間をまるごと作品にする直島の家プロジェクト「きんざ」の制作にもあたっており、空間を芸術に変える内藤礼の世界は定着していきました。
近年では東京都庭園美術館リニューアル後の最初の企画展に参加しており、広い美術館の空間の中に10体の木彫りの「ひと」を配置し、宝探しをするような感覚を持たなければ決して気付く事のない展示方法で、作品を設置しました。
これは見る者に「自分と同じように、今この時を生きている姿」というものを訴えかける作品として高く評価されました。