韓国慶尚南道出身の日本を拠点に世界的に活躍する美術家です。
日本の現代美術の大きな動向である「もの派」を理論的に主導した事で有名で、安藤忠雄が設計した李禹煥美術館が香川県直島町に開館しています。
作品制作のかたわら、美術批判も手掛けており、『出会いを求めて』など多数の著書を出版しており、その他の出版物としては画集が何冊か出版されています。
2008年から毎年ヴェルサイユ宮殿で開催されている現代美術展に出品しており、二つの相対する素材を使った作品を発表し続けています。
李禹煥の家は国務大臣を何代もやっていた家でしたが、政治的な問題によってその立場を失い、一家は各地に散る事となり、慶尚南道の咸安という山奥の非常に貧しい村に住みました。
曽祖父は薬を配合するような仕事をしていましたが、父親の代から農業を本格的に行うようになります。
貧しいながらも学問には力を入れて育てられた事もあり、ソウル大学校美術大学を卒業すると日本大学文学部哲学科に入学しました。
やがて自分が学んできた事を、美術を通して発信したいと考えるようになり、美術界に足を踏み入れます。
こうして次々と作品を発表していった李禹煥は、日本国内はもちろん、海外でも注目され、様々な美術展での受賞、そして韓国、フランス、日本でも勲章が授与されています。
李禹煥は同じ形、同じ置き方をした石でも展示される場所によってまったく異なった空気や表情を見せると語っており、展示会を行う際は、同じような作品をいくつも見る事ができますが、一つとして同じに感じるものはないといいます。