スイス・フリブール出身のスイスの彫刻家です。
キネティック・アート(動く美術作品)の代表的な作家として知られ、既成の秩序や常識に対する、否定、攻撃、破壊といった思想を大きな特徴とするダダイスムの影響を濃く受けた作品を展開しています。
また、第二次世界大戦後のフランスで誕生した美術運動、ヌーヴォー・レアリスムのメンバーとして活躍した事でも知られています。
スイス・ バーゼルで美術を学んだ時に、ガラクタや廃材を集めて制作されるジャンク・アートに興味を持ったジャン・ティンゲリーは、クルト・シュヴィッタースに影響を受けて、ダダイスムやジャンク・アートへの関心を高めていきました。
パリで活動するようになると、イヴ・クラインやニキ・ド・サンファルらの美術家たちと知り合い、互いに影響を受け合いながら制作活動に励みました。
ニキ・ド・サンファルとは後に結婚し、二人の共同作品も多く見られる事から「おしどり夫婦」と呼ばれています。
ジャン・ティンゲリーは、1960年にニューヨークで初めて行った作品のデモンストレーションで、作品が最後に音を立てて爆発してしまうという通常では考えられない作品を発表しました。
これは、作品が失敗作だったわけではなく、作品の動きや音はもちろん、臭いまでもを芸術にするという独自の観点から生まれたものでした。
この出来事はニューヨークではもちろん、世界的にも注目を浴び、ジャン・ティンゲリーの名は世界的にも有名なものとなりました。
ジャン・ティンゲリーの作品は廃材を利用したものですが、これは消費主義に反発したジャン・ティンゲリー自身の社会へ対する批判が表現されており、材料の調達は実際のゴミ捨て場で行っていました。
そんなジャン・ティンゲリーの作品はスイスのバーゼルにあるティンゲリー美術館に展示されており、大人も子供も楽しめる空間を提供し続けています。