【篠田守男】買取作家・取扱い一覧彫刻

篠田守男

篠田守男(1913～)

東京都出身の昭和～平成時代に活躍する日本の彫刻家です。

立体作品に糸を使い、オブジェクトを空中に固定するという表現方法で新風を巻き起こした彫刻家として知られています。

その作品はサーカスの綱渡りから得た発想で、鋼鉄線の張力と圧力で金属塊を中空に固定させるTC(Tension and Compression)シリーズとして発表しています。

国際彫刻センター(ISC)優秀彫刻教育者賞をアジア人として初めての受賞となるなど、国際的にも評価が高く、メトロポリタン美術館、ルイジアナ美術館など多くの美術館に作品が収蔵されています。

幼い頃から好奇心が強く、道路工事や建築現場の作業を何時間も見続けていたという篠田守男は、通商産業省(現・経済産業省)に就職し、通産省大臣官房渉外課の事務方として勤務していました。

そんな中、毎月のコンペでよく入賞するようになり、当時の意匠部長から「事務では惜しい」と言われ、意匠部に移り工業デザインをやるようになりました。

ちょうどこの頃から独学で彫刻を始めるようになり、初めて彫刻らしき作品を制作するとモダンアート展に出品し、入選を果たします。

篠田守男自身はこの時の作品を「作品と呼べるような品物ではない」と断言していますが、美術を学んだ事のない人間が作った作品は、美術界の人間からしたらまったく新しいモノのように映ったのかもしれないと感じているそうです。

こうして作家として注目されるようになった篠田守男ですが、始めは「作家」という言葉に浮かれ、制作活動も楽しく行っていましたが、次第に作品を作る事ができなくなり、大きなプレッシャーとの長い闘いが続きます。

こうして生み出したTC(Tension and Compression)シリーズによって独自の作風を生み出し、公務でアメリカへ派遣された時には、足りなくなった活動資金を得るためにくず鉄で制作した彫刻作品を売り、それが好評であったため海外でも名声を高めていきました。

帰国後は国内外で様々な賞を受賞し、通産省工業技術院産業工芸試験場を辞めて本格的に作家としての活動を開始しました。

彫刻家としてはもちろん、教育者として後進の指導にあたるなど活躍の場を広げ、小説家のヘンリー・ミラーや彫刻家のイサム・ノグチと交流し、有名、無名で人を区別しない生き方などを学びました。

こうした姿勢が多くの人々の好感を呼び、教え子とも対等な立場で接している事から、個展を開催すると多くの来場者が訪れる光景を見る事ができます。

篠田守男年表

1913年　東京都で生まれる

1952年　通産省大臣官房渉外課に勤務する

1953年　青山学院大学第2文学部英米文学科を中退する

1954年　通産省工業技術院産業工芸試験場に勤務する

1956年　モダンアート展で受賞する

1963年　公務でアメリカへ派遣され、シカゴ美術館附属美術大学で学ぶ

1965年　第1回現代日本彫刻展で神奈川県立近代美術館賞を受賞する

1966年　高村光太郎賞を受賞する

第33回ヴェネツィア国際ビエンナーレ日本代表となる

1967年　通産省工業技術院産業工芸試験場を退任する

1975年　第2回箱根彫刻の森美術館大賞展で大賞を受賞する

1994年　長崎大学大学院専任教授となる

2000年　国際彫刻センター(ISC)優秀彫刻教育者賞を受賞する

2003年　金沢美術工芸大学大学院専任教授となる

1931年　東京都で生まれる