日本の陶芸家・小野寺玄は北海道釧路市生まれです。
上京して文化学院美術科に入学し、建築家、画家、陶芸家、詩人、生活文化研究家と多数の顔を持つ西村伊作院長の陶芸研究室の助手をつとめ、卒業後は北大路魯山人に師事して陶芸を学びました。
その後、独立して坂田山に潮音窯を築き本格的な作陶活動に入ります。
第11回伝統工芸新作展・日本伝統工芸展で初入選を果たし、以後入選を重ね、日本工芸会正会員となり、文部大臣賞、秩父宮賜杯授与、日本陶磁協会賞など陶芸家にとって名誉ある賞を受賞しています。
また、室町時代に生産されていた石川県能登地方の焼締めの陶器である古窯・珠洲焼に惹かれて20年に渡って研究を重ね、珠洲古陶の炭化焼成(燻し焼き)技法を現代に甦らせることに成功し、更に褐色中心であった珠洲焼を白く焼き上げる方法を生み出し、珠洲焼の更なる発展と飛躍に貢献しました。
ちなみに珠洲焼は北海道南部から福井県にかけての日本海側に広く流通した、中世日本を代表する焼物として知られており、能登半島で発展していったのは珠洲焼を流通させるのに遠方への輸送コストが、陸を使うより海を使った方が低く済んだからだったそうです。
こうして各展覧会や個展を中心に精力的に活動を続け、近年では現代的な造形や文様を取り入れ、海をテーマにした作品を展開しています。