井上康徳は佐賀県出身の昭和~平成時代に活躍する陶芸家で、重要無形文化財「白磁」保持者である井上萬二を父に持ち師事し、技術や伝統を受け継いでおり、ただの後継者ではなく1人の作家として多くの人に認められています。
井上康徳は佐賀県有田町に生まれました。
有田町は日本で初めて磁器が焼かれた歴史ある焼物の街として知られており、街並みも歴史的価値の高い建物が多く残っている事から、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
このような歴史ある街に生まれ、幼い頃から白磁を見て育ってきた環境を経て大学卒業後は父に師事し、土こねからろくろ引きまで徹底的に叩き込まれました。
白磁は、陶石(とうせき)や磁土(じど)を原料にろくろなどで成型し、素焼きの後に透明釉を掛けて焼成をおこないます。
井上康徳の作風は白磁の伝統を守りつつ、波文に彫文様や彩釉などの技法を用いた造形に特徴があり、ろくろの技術の高さと躍動感を感じる事ができ、作品そのものが放つ、いつまで眺めても飽きない美しさに真骨頂があるといわれています。
また「用の美」を意識し現代的な作品を作ることをモットーにしており、彫りや釉に変化を持たせ、白磁の新しい表現の開拓に尽力しています。
井上康徳は日本伝統工芸展初入選以来、同展にて20回以上入選している他にも、西武工芸展朝日新聞社金賞受賞など数々の賞を受賞しており、国内外の展覧会に出品し続けています。