石川県出身の昭和~平成時代に活躍する日本の陶芸家、デザイナーです。
陶芸家として活動を行うかたわらでデザイナーとしての仕事もこなしており、自宅の設計は自らが行ったそうです。
その他にも東京・銀座五丁目の加賀屋銀座の店舗デザインなども手掛けており、空間に左右されやすい茶碗をはじめとした焼き物には、それにふさわしい建物や場を提案する必要があると茶会の演出など空間デザインも手がけ、それらの仕事は建築業界からも高く評価されています。
江戸時代から続く大樋焼の伝統ある窯元の家に生まれ、祖父である9代目に可愛がられて育ちましたが、家業の焼き物とはまったく無縁の学生生活を都内で送りました。
このまま家業を継ぎたいとは思わないのではと考えていた大学3年生のある日、アメリカ・ロサンゼルスでアメリカ人陶芸家のリチャード・ハーシュが制作した「アメリカン・ラク」という作品に衝撃を受けました。
大樋年雄の家業である大樋焼は楽焼から派生した焼き物で、遠い海外の地で楽焼が焼かれている事に感銘を受け、家業に取り組む事を決意するようになります。
しかし、卒業と同時にボストン大学に留学し、アメリカで個展を開催しながらリチャード・ハーシュと共に「アメリカン・ラク」のワークショップをアメリカ各地で行い、広めていきました。
こうして帰国してからは活動の拠点を大樋窯に移し、展覧会、講演、公開制作などを行うために年に何度かアメリカへ渡る生活を続けています。
また、ハワイ大学の公開制作の際、ハワイの土では焼物に適した土がないとされていましたが、初めて白釉、黒釉、飴釉などを掛けた楽茶碗を焼くことに成功し、日本のみならず世界中の陶芸界に衝撃が走りました。
大樋年雄の作品は大樋焼の伝統を礎に、深い学識と独自の感性が透徹していると世界各国で作品が所蔵されるており、日本を代表する陶芸家として期待されています。