波多野善蔵は佐賀県で生まれた陶芸家で、山口県指定萩焼無形文化財に認定されています。
波多野善蔵は幼い頃を佐賀県唐津で過ごし、唐津焼の重要無形文化財保持者でもある陶芸家の中里無庵の工房に遊びに行っていたそうです。
後に陶芸家を目指し、萩焼の陶芸家で文化功労者でもある吉賀大眉に師事し、芸術性よりも用の美を追及した茶陶に惹かれ伝統工芸を作る事となります。
丁度その頃、跡取りを探していた萩焼窯元である指月窯の養子となり波多野栄三に師事し、一部に釉薬をかけずに焼き上げ、釉薬のかかっていない部分を鮮やかな赤橙色に発色させる「緋色」という技法を生み出し、それまでの萩焼にはない独自の作品を手掛けつつ、伝統的な茶陶にも力を発揮し活躍しています。
また波多野善蔵は登り窯にこだわって焼成し、計算出来ない窯変の味があり、上手くいくように願いながら薪を焚いていると驚くような色が出るといいます。
作風としては萩焼独特の淡い色調でどこか上品で、その中でも緋色シリーズは人気があります。
受賞歴も文部大臣賞など多数あり、平成14年には山口県無形文化財の1人に指定されるなど多数の受賞があります。
現在は山口県萩市にある波多野指月窯にて親子2代で萩焼の研究に励んでいます。