秦蔵六は江戸時代末期から続く鋳金家で、蝋型鋳物を得意としています。
6代秦蔵六は5代の息子として生まれ、本名を恒造といいます。
5代の子供には男の子が恒造しかいなかったため、幼い頃から家業を継ぐのは自分なのだろうと考えていたそうです。
同志社大学文学部を卒業すると父親のもとで修行を開始し、伝統の鋳金技法を身につけます。
秦蔵六が得意としている蝋型鋳物は蝋で作った型を使うため、緻密で美しい文様を表現する事ができますが、その反面1つの型で制作できるのは1つの作品のみで同じものを大量生産する事はできません。
また、型から出して気が遠くなる程の磨きの作業を行う事によって滑らかで品のある作品に仕上げる事ができます。
6代秦蔵六は古代中国器の意匠から美のエッセンスを抽出し、個性豊かな青銅器を手掛けており、現代性を加味した作品を数多く手掛けています。
中でも時を経て金箔が剥がれ落ちたかのような表現を用いた作品は独自のもので他では見る事ができません。