石川県出身の山中塗の塗師です。
本名は雅雄といい、山中塗の木地師・前端春斎の長男として2代・前端春斎としても活躍しています。
幼い頃から父親の仕事を見て育ち、自然と山中塗に従事する事になりました。
更なる技術の向上を目指し、村田道寛師に茶道漆芸、中村長寛師に石地塗り、保谷美成師に加賀蒔絵を学び、伝統柄をモチーフにしながらもその配置などにセンスを光らせ、とても絵画的で彫刻的な作品に定評があります。
特に蒔絵の技術には素晴らしいものがあり、加賀蒔絵はとても派手な印象がありますが、茶室の中ではその派手さは影をひそめ、あたたかくやわらかな光を放つと多くの茶人から愛されています。
そこには一つの作品を制作する時に「宝石を扱っているような気持ち」で仕事を行い、本当に価値あるものを後世に伝えたいという使命を持って制作にあたっています。
また、加賀藩最高の武家書院が金沢から山中温泉に移築された際、財団法人無限庵を設立し、理事長をつとめています。
この他にも国の重要文化財建長寺修復事業を任され、重要文化財解体修理の古材で棗などの制作を行ったり、ローマ法王や天皇陛下に作品を献上するなど、その高い技術力が評価されています。
そのため、千家家元の書付の作品も多く存在している実力ある山中塗の塗師として活躍しています。