18世紀中頃からパリを拠点とした中小窯の総称で、別名「パリ窯」と呼ばれています。
セーブルスタイルはフランスの王立セーブル窯の作風を真似して制作された陶磁器の事を示し、特に盛んに作られたのが金彩、金盛りを多く用いたロココ調の作風で、天使や仲睦まじい恋人たちが描かれた物が多いのもセーブルスタイルの特徴です。
中にはセーブル窯を凌ぐほどの素晴らしい作品のセーブルスタイルもあり、近年では高級美術品として認められたセーブルスタイルはオークションなどで高値で取引されています。
セーブルスタイルの元となったフランスのセーブル窯はルイ15世と公妾ポンパドゥール夫人の庇護のもと、王立窯として王室のためだけに量産を目的としない、国の富みと権力の象徴を目的とした高い技術力を用いて芸術性の高い作品を作り続けてきました。
そのため、セーブル窯で制作された作品は王室や一部の高級貴族しか入手する事ができない品物で、それを欲した商人や一般の人々の要望に応えるために民間の窯でセーブル窯風の作品が作られるようになりました。
しかし、フランスでは18世紀中頃までセーブル窯以外の窯で陶器、陶磁器の製造を行う事が禁止されていました。
そのため、セーブルスタイルが世の中に出るようになったのはフランス革命によってセーブル窯が破壊され閉窯してからでした。
セーブルスタイルを手掛けた代表的な窯はミントン、マイセン、ヘレンド、コールポート、シャンティリーなどが有名で、窯によっては自社のバックスタンプ以外にもセーブルスタイルのみ付けられるバックスタンプが存在します。
また、より豪華に見せようと金彩を多用している作品も多く、豪華絢爛で高級品のイメージが強いものが多いのですが、中古市場では価格の落差が大きく、一概に全てのセーブルスタイルが高級品扱いされているわけではありません。