インドの釈迦によって起こった仏教は、シルクロードを経て様々な国の文化や風習などと融合しながら6世紀半ばに、仏具とともに日本に伝来しました。
仏壇に仏具を飾ることを「荘厳する」といいますが、今回は寺院の仏堂を飾り立てる寺院用仏具のうち主なものを紹介します。
寺院の仏堂は様々な仏具によって荘厳する必要がありますが、寺院用仏具は一般家庭の仏具と違い、大きさや種類も多様です。宗派によっても使用する仏具も異なり、本堂の中を荘厳する「荘厳具」、供えるための「供養具」、合図として音を出す「梵音具」、密教で使用する「密教法具」などがあります。
仏前供養に用いる燭台、香炉、花瓶(花立)のことを指します。 三具足において燭台・花瓶を一対ずつにしたものを「五具足」といいます。
華鬘(けまん)は、荘厳具のひとつで仏堂の長押や梁に掛けるものです。金銅や木板に蓮華文、宝相華唐草文などの透かし彫りや彩色が施されています。
磬(けい)は、梵音具のひとつで、儀式の合図や読経の伴奏用です。石製、玉製、金属製があり、木槌で中央の部分を打ち鳴らします。
華籠(けこ)は散華に用いる花を盛る皿で、花皿ともいいます。金色の金属製のものが多く、生花に代えて紙の蓮弁を撒くことが多いようです。
銅・鉄製の雲形状の平たい板で、起床や就寝、食事、座禅など、禅院内の隔週の合図に用いられる梵音具です。
飲用や手洗い用の水を入れる陶磁器製・金属製の瓶で、大乗仏教(古来の仏陀の教えを拡大し新しい解釈を加えた教派)では出家者の重要な持物とされます。細長い頸の上部に尖台をのせ、胴に口と高台を付けた「仙盞形」のほか、「信貴形」「蕪形」「玉子形」などがあります。
社殿、仏殿の正面に吊るし、参拝者が綱を振って打ち鳴らす円形の平たい錫のことで、金鼓ともいいます。
持ち運びできるように柄を付けた香炉で、柄の先端の形により、獅子鎮、瓶鎮などがあります。主に法会の際、導師が持つものです。
銅、鉄製の杖で、頭部に鐶を付け、それを揺り鳴らして煩悩を去り、智慧を得るとされています。
勤行の際に叩く皿型の鉦です。真鍮または青銅製で、台に吊るしたり台座に付けて、木ばちで叩きます。
寺院での釣鐘のことで、もとは僧の集合の合図用でしたが、のちに時報に用いられるようになりました。日本最古の梵鐘は京都妙心寺の鐘銘(698年)とされています。
特に禅寺で食事の合図などに用いられる魚型の木製具です。木槌で叩いて使われます。
読経する際に叩いて鳴らす道具ですが、上記の魚板が変化して円形、中空、細長い穴を穿って表面に魚の鱗を彫刻したものがあらわれ、 のちに読経の調子をとる道具として使用されるようになりました。禅宗や天台宗などで用いられ、宗派によっては木魚を使わない宗派もあります。
仏像・舎利・経巻などを納める容器で、一般には屋根と台座をもち、両開きの扉があります。
主に修験者が合図などに用いたものです。「螺」は巻貝ですが、大きな法螺貝の先端部に口金を付け、吹き鳴らす道具が法螺です。真言宗や天台宗の法会や東大寺のお水取りで、儀礼のひとつとして吹奏されます。
仏殿の柱や天蓋、高座などに吊るす装飾具で、錦、絹などの布製のほか、金銅製のものもあります。
説法の際に導師が携える法具です。孫の手から転じたもので、柄先に雲形の金属板などを備えています。
払子(ほっす)は、長い獣毛や麻糸を束ね、柄を付けた法具で、仏教の法要の際に僧が威儀を示すために用いられます。煩悩や邪悪を払う功徳があるとされています。
棒状の法具で、仏敵に立ち向かうための威力のシンボルとされています。
