【骨董品買取の豆知識】仏画や仏像など、骨董品・美術品としての仏教美術の価値
仏像・仏画やその掛け軸が家にあっても、宗教的な見地からあまり売買の取引を考えないという方も少なくないでしょう。しかし、仏教美術は宗教の用品としてだけではなく、アートの1つとして重用されてきた歴史もあります。骨董品としての価値を知れば、仏像や仏画を観賞することがより楽しくなり、有益な趣味となるでしょう。
今回は、仏像や仏画などの仏教美術を骨董品・美術品として楽しむためのポイントについてご紹介します。
【仏教美術その1】仏画
仏画とは、仏教をモチーフとした絵を指す呼び名です。いつの時代においても、同じような仏教世界が描かれていたわけではなく、描かれた時代によって仏画の作風や題材が異なるところが魅力の1つとして考えられています。
日本で仏画が盛んに描かれた時代は平安時代末期といわれており、豪華絢爛な色彩や贅沢な装飾を施したものが多く制作されました。また、仏そのものや仏教者の姿だけではなく、仏教における極楽浄土を描いたものや、仏教の教えに基づく世界観をあらわした絵画も豊富です。中でも、極楽や仏の荘厳さをあらわす金色や金箔が用いられた仏画には、他のアートにはない独特な魅力が詰まっています。さらに、仏画は流派や宗派によってさまざまな特徴があり、著名な流派の作品は美術・骨董品としての価値も高いとされています。
【仏教美術その2】仏像
仏教美術においても特に人気の高い仏像は、人々に広く知られているジャンルになります。仏の姿をかたどった仏像は仏教への信心の象徴であるため、仏教が広く信仰されてきた日本では広く知れ渡っている存在でしょう。仏像は、想像に基づいて製作されているとは思えないほど精緻な造形のものが豊富で、宗教観などにとらわれず純粋に美術品として愛好する方も多いものです。仏画と同様に宗派や流派があり、それぞれの様式が異なります。
日本国内で作られる仏像は、主にクスノキやヒノキを用いた木製が主体です。特に、木曽ヒノキは仏像の製作に適した素材といわれています。このような素材を使用した木彫りの仏像は、細部の繊細な造形が魅力的です。しかし「荒彫り」という、仏の姿を粗く削り出す作業がしっかり行われている仏像ほど美しい、という愛好家も多くいます。
また、外観がきれいなだけではなく、信仰心に根ざす力強さが内にこもった仏像は、宗教観だけにとらわれない美しさを持っているとされ、人気です。仏画と同じく、人気の高い流派の作品は美術品としての価値も高く評価されています。
仏教美術の価値は民間人に支えられてきた?
仏画や仏像の仏教美術は、仏閣などの施設に所蔵されているものが多いのですが、実は民間人によって守られてきた作品も数多くあります。国内はもとより、世界的に知られている仏像や仏画も、元々は「個人蔵」であったケースが少なくありません。よって、仏像や仏画が信仰の対象としてだけでなく、コレクションとしても多くの個人に愛され続けてきたことで、仏教美術という文化そのものが歴史の変遷に巻き込まれることなく守られてきたともいえそうです。また、仏画や仏像のみならず、経典や曼荼羅、歴史的価値がある仏具なども、仏教美術の一端として取り扱われます。
おわりに
今回は、仏画・仏像をはじめとした仏教美術を、美術品・骨董品として楽しむための基礎知識についてご紹介しました。美術品としての価値はもちろんですが、宗教心に関係なく、見ているだけで心が澄み切ってゆくような美しさを備えている点が仏教美術の魅力です。
個人宅の蔵に眠っている仏像や仏画も、アートとしての高い価値を持っているかもしれません。
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