雑宝(ざっぽう)
雑宝は中国の磁器の壺や絵皿に沢山見られる吉祥文様です。
日本の着物や茶道の帛紗、京唐紙に見られる「宝尽くし」の文と同じく、この上ない幸運を求める意味が込められた文様です。
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珊瑚(さんご)その美しさから珍重され、宝物としては最も古い歴史を持ちます。いわの美術では血赤珊瑚と呼ばれる真紅の珊瑚を査定しております。
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丁子(ちょうじ)ハーブの一種であるクローブとして現代でも親しまれています。稀少であったことから雑宝にくわえられました。
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方勝(ほうしょう)菱を2つ横に重ねてできる形の首飾りが元となっています。方形といい、この形で漆塗り・堆朱の器物などがのこされています。
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繍球(しゅうきゅう)時に七宝で示されます。獅子が戯れる球で、この中から獅子の子が産まれると信じられ、めでたい文となりました。
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角杯(かくはい)動物の角を杯に用いたことが由来の文様です。いわの美術では犀角の盃を査定しております。
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火焔宝珠(かえんほうじゅ)願うものを自由に出せる力を持つ宝珠が燃え上がる様子が表現されています。
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厭勝銭(えんしょうせん)貨幣を文様にした文様です。富裕さへの祈願が込められます。
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銀錠(ぎんじょう)銀錠とは通貨の一種で、金運の上昇や財を形成する事を願う意味があります。
八宝(はっぽう)・八吉祥(はちきちじょう)
仏教の経典に基づいた、仏教での吉祥を八種類の荘厳具などで示しています。
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法輪(ほうりん)仏の説によれば、法綸と呼ばれる仏を運ぶ車輪は申し分なく滞りなく回転し、止まることが無い様子から長寿、物事が順調に進むようにとの願いが込められています。
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法螺貝(ほらがい)妙音(絶妙な美しい音)を出す貝で、吉祥を表現します。
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宝傘(ほうさん)仏が持つ巨大な傘の一種で、仏の意思で開く・閉じるを自在に操作されます、人間をはじめとしたすべての生物を病や飢えから救う力をもちます。
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白蓋(はくがい)「三千大千世界」と呼ばれる、10億個の世界が集まった次元の広大な世界を覆いつくしています。
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蓮華(れんげ)蓮の花のように深い泥のなかからすがすがしく花開くことを表現しており、清らかさの象徴になります。
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宝瓶(ほうびん)福智円満(ふくちえんまん:菩薩の善を行って徳を積む福行と、自己の悟りを完成させるための智行が円満に成されること)にして具完無漏(ぐかん:観念を備えている、むろ:洩れるものがない→煩悩がない、以上のことから煩悩のない観念を備える)という意味がこもっています。
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金魚(きんぎょ)双魚と呼ばれる二匹の金魚で示されることもあり賢固活発にして魔除けを意味し、解脱(げだつ)を助けます。
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盤長(ばんちょう)結び目がなく、回環一切な様子から、長寿祈願を表し、円環貫徹一切通明(円環のように一切を貫き、全ての見通しが極めて明るいこと)を象徴します。中国の赤い組紐の壁飾も盤長結が使われています。
八という数字
中国では、元時代に八という数字への信仰が始まったことから、八仙と呼ばれる仙人や八音、八宝または八吉祥と呼ばれる吉祥文様が生まれたとされています。
”八”は中国語で「商売繁盛」「儲かる」「お金持ちになる」を意味する言葉に発音が近いことから縁起がよいと好まれ、中国においては携帯電話の番号や車のナン バープレートで八が並ぶことは好まれます。日本で八という数字が好まれる理由は「末広がり」という理由であることと比べると、より具体的な考え方の一つで あるといえるでしょう。