中国美術とは?
近代以前の中国で「美術」に相当するのは「書画」でした。
「美術」という漢語は本来中国のものではなく、日本が西洋から輸入し漢字化した概念の一つで、中国へ逆輸入されたものです。
中国の伝統的価値観において、造形芸術は「書」と「画」を指し、陶磁器や仏像彫刻などは工芸品に分類されていました。
現在の「中国美術」には、書画に加えて陶磁器・仏教美術・玉石・漆工芸・青銅器・茶器・茶道具・香道具・文房具・書道具・工芸家具など広範囲な美術工芸が包括されています。
1.購入時期
中国美術は購入時期によって品物の現在価値が異なる傾向にあります。
日本がバブル景気であった30年程前までのお品物、さらに古く曾祖父・祖父・お父様の代にお仕事で中国に長期滞在された方が現地で購入されたお品物には、現在入手困難な名品が散見され、当時の数倍で売却可能な場合があります。
反対に、近年中国の骨董市や美術館で購入された美術品は、2007年に中国国家文物局が改定した国外持ち出し基準を下回ると考えられ、あまり高値でのお買取りが期待出来ません。
2.日本で中国美術ブームが起きている理由
中国は長い歴史に彩られた素晴らしい芸術と文化を持ちながら、19世紀半ばから20世紀を通じて欧州列強・日本との戦乱、内紛、1966年から10年続いた文化大革命などで、多くの美術品が流出・焼失する憂き目に遭っています。
2000年代に目覚ましい経済発展に入り、多くの新興富裕層が生まれると、国外に散逸した自国の美術品を買い戻す機運が高まりました。
その中で地理的にも近い日本には、比較的偽物の流通が少なく、骨董品として珍重されてきた保存状態良好な品物が多くあったため、日本において中国美術ブームが起きています。
3.名前のない品物
骨董品を納める共箱と、そこに書き付ける箱書きは日本独自の習慣です。
古い時代に中国から骨董としてもたらされた品物には、当時の中国骨董評論などの権威者によって箱書きが加えられ、共箱が作られたものが多くあります。
しかし複雑な来歴を経るなかで箱の存在しない、由来不明となる品物もあり、共箱や箱書きがなく由来不明でも高価な品物もあるため、古いお品はまず査定を受けられる事をお勧めいたします。
高価買取のポイント
中国骨董の高価買取は下記がポイントとなります。
・有名作家
・人気のある品物、素材、内容
・保存状態、付属品
1.高価買取の多い作家
書家:
于右任、王一亭、翁同和、郭沫若、啓功、黄公望、康有為、呉昌碩、張瑞図、楊守敬
林散之
画家:
于非闇、王鑑、關山月、黄賓虹、斉白石、徐悲鴻、張大千、董寿平、溥儒、李可染、陸儼少、林風眠、郎世寧
2.人気の高い品物
上記作家による書画のほかには、下記の品物に高価買取が多くみられます。
・茶道具・煎茶道具
・陶磁器(唐三彩、景徳鎮、磁州窯、耀州窯、官窯、龍泉窯、釣窯、哥窯、徳化窯、汝窯、青花、五彩、古染付、粉彩、釉裡紅、)
・漆器(堆朱、堆黒、朱溜塗、金磨塗、色漆塗、三彩彫)
・青銅器(酒器、食器、水器、楽器)
・仏教美術(仏像・仏教彫刻・仏画・仏舎利・写経)
・中国切手
文化大革命期には外貨獲得の妨げになるとして中国国民による切手蒐集が禁止されました。
これにより1966年以前の記念切手の類は大幅に消失し、その中でも1962年に死去した京劇の名優・梅蘭包にちなんだ梅蘭芳舞台芸術シートはプレミア品となっています。
他にも毛沢東や赤猿、特56蝶シリーズなどの切手は人気が高く、未使用かつ保管状態が良好な場合高値でのお買取りが期待できます。
・文房四宝
文人が書画をしたためるのに用いる文房具は、上等な素材を用い工芸の技巧が凝らされた骨董価値のある品もあります。
文房四宝には筆・硯・紙・墨があり、その他にも印材や、これらを仕舞う硯箱など書道具全般にお買取り可能なお品物がございます。
・翡翠、珊瑚、象牙
玉石としてアクセサリーに加工される以外に、中国美術では彫刻の素材としても用いられました。
象牙は1989年にワシントン条約により国際取引が禁止され、日本においても1993年施行種の保存法によって売買・譲渡・相続に制限が設け、自然環境研究センターに登録が義務付けられています。
登録義務の対象は牙の形状を保ったものに限られ、彫刻作品や印章・印材などは対象外ですが、業者に売却する場合は「特別国際種事業者」登録済みの業者を選ぶ必要があります。
3.付属品・保存状態
日本で骨董品として流通した中国美術の多くには、共箱や箱書きがあり内容が示されています。
ご売却時には美術品本体と同様に、共箱、掛軸の場合は虫食い防止のウコン染布など付属品も重要となります。
保存状態は、虫食い・ヤケ・破れ・ほこり、欠けなど少ないほど高評価に繋がりますが、経年の汚れをご自分で除去することは難しいケースもあり、破損を防ぐためにもまずは買取業者に状態も併せてご相談ください。